第10章 願の先に
「アリス来いっ!」
エースは思いっきり私の腕をつかんで抱き上げてくれました。
いわゆるお姫様抱っこ。
「エ、エース!///」
「じっとしてろよ!」
そこから二人のスピードは急激にアップ。
私と走っていたスピードよりもはるかに速いです。
長かった廊下の終着点が見えてきました。
暗かった廊下に日差しが差してようやく出ることができそこからも二人は走ることを止めません。
息が乱れている様子も一切ありません。
「エース、皆は大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫さ。俺たちは世界最強の白ひげ海賊団だぜ」
「ついたぞ!」
リアムさんの声の方を振り向くとそこにはモビーディック号の姿が。
船上にはみんなの姿が。
「ど、どうしてまだ戦っているはずじゃ…」
私が驚いている間にエースはそっと私を降ろしてくれました。
「アベルが教えてくれたんだよ。俺たちが使われたあの強力な睡眠ガスの使い方をな!」
今頃海軍のやつらはぐ~すか寝てるだろうぜ!と楽しそうに報告してくれるサッチさんもなんだか懐かしく感じます。
アベルさんの方を見るとしてやったりと言いたげな顔をしています。
「そうだ、アリス。海楼石の入ったブレスレットを外すよ」
アベルさんは小さなカギを使って、ずっとつけられていたブレスレットにさよならができました。
今まであまりしんどいとか思っていませんでしたが、いざとってみるとなんとなく元気になったような気がしました。
「…ありがとう。アベルさん」
「グララ、早く上がってこいアリス!」
久しぶりに会ったお父さんはお父様よりもずっと暖かくて優しい笑顔を私に向けてくれました。
「はい!」
エースはあっという間に駆け上がってしまったけれども、私は一段一段タラップを踏みしめて登っていきます。
もう少しで皆さんのところに行くというときでした。
「っ!アリス!!」
途中でアベルさんと呼ばれと思ったらいきなり抱きしめられ、次の瞬間銃声と共に衝撃が走りました。