第10章 願の先に
「私は…」
「アリス!」
その時聞こえたのは私の好きな声。
後ろを向くとそこにはいつの間にかエースが立っていました。
もちろん、お父さんや他の隊長さんたちもいました。
「戻ってこい!」
「なんだ、あいつらは!!さっさと捕らえろ!」
エリオットさんの掛け声で海軍の人や衛兵さんが白ひげ海賊団に向って行きました。
その中には海軍大将も入っています。
一気に戦場と化した会場にはきけんということで私はリアムさんに連れられて会場から出ることに成功しました。
エリオットさんはば恵右の出口から会場を後にしたようです。
会場から出た廊下は暗くて奥まで続いていました。
「この先にエースがいるはずだ。急ぐぞ」
「はい!」
走るときに邪魔になるであろうドレスの裾を思いっきり膝上程まで破り、長い廊下を二人でひたすら走り続けました。
どこからともかく戦っている音が聞こえてきます。
暗い廊下に戦場の音が反響して聞こえるのでいつもより臨場感があってとても怖いです。
必死に走っていくと遠くにオレンジ色がなんとなく見えてきました。
おそらくあれはエースのテンガロンハット。
向こうもこちらに気付いたのか走ってきてくれました。
「エース!」
近くで見るとそれはやっぱり会いたかったエースで。
「アリス!」
エースは私を思いっきり抱きしめてくれました。
それはもうつぶれそうな勢いで。
でもエースの暖かさがダイレクトに伝わって、今まで冷たい空間にいたのが嘘のように思えました。
「会いたかった!」
「あぁ、もう離さねぇ」
強く、強く抱き合った。
「さぁ、時間がない。急いでここから出よう」
「うん!」
「俺が案内する。こっちだ」
リアムさんが前を先導してくれるのでそれに私たちは付いていく。
しかし、ここに来るまでにずっと走っていることと男女の差から私が二人のスピードに付いていけなくなってしました。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
これはかなりしんどいです。
あまり奥が見えない廊下はどこまで続いているのか全く予想することができません。