第10章 願の先に
いよいよ、式の当日になってしまいました。
昨日になんとなく今日の作戦は聞いていますが、本当に私は無事にみんなの下へ帰ることができるんでしょうか…
いろんな意味で緊張していると控室にリアムさんがやってきてくれました。
「大丈夫か?無事に今日が終わるといいな」
「そうですね…」
朝から止まることを知らない緊張感。
手先は少し震えています。
そんな私の様子に気付いたのか、リアムさんはそっと私の手を握ってくれました。
「大丈夫、何度も言っているけれども絶対に白ひげ海賊団の下へ返してあげる。アリスはただ無事に帰れることだけに集中するんだ、いいね」
どうしてここまで優しくしてくれるんでしょう。
兄妹とはいえ海軍のリアムさんが海賊と組んでいるということが知られてしまったらきっとただではすみません。
「…どうしてここまで私に優しくしてくれるんですか?」
それはずっと心のどこかで思っていてた疑問。
「ただ一人の妹が犠牲になっていくなんて見てられないだろう」
そういうとこの話は終わりだという風に私の頭をポンポンと撫でてくれました。
「そろそろ時間だ。行こうか」
「…はい」
どうか無事に終わりますように。
それだけを願って私は会場の方に向かいました。
「アリス宮のご入場です」
それと同時に開かれる目の前の扉の向こうにはエリオットさんの姿があります。
チラッと周りを見てみると流石に天竜人との結婚式とも会って警備の数が尋常じゃないくらいの人数になっています。
中には海軍大将さんもいらっしゃっています。
…本当の無事に今日を終えることができるのでしょうか。
そのことが一番気になって仕方ありません。
エリオットさんの隣に並び目の前の神父さんが結婚式のお決まりのセリフを発している。
隣に立っているエリオットさんは私に対して永遠の愛を誓いました。
神父さんは私の方を見ている。
きっとここに居る全員が私の答えを待っている。