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末っ子の妹ができました。

第9章 末っ子の想い




お父様は言いたいことだけ言うとそのまま部屋を出ていかれました。


アベルさんと二人きりです。



「あの…アベルさん。…んん!?」



名前を呼ぶと思いっきり口をふさがれました。



「すまない。ここに居る間はリアムと呼んでくれ。正体がバレたら困るんでね」



私は口をふさがれて声を発することができないので、首を縦に数回降って肯定を示しました。


それを確認すると口を塞いでいた手をどけてくれました。


…結構苦しかったです。



「あの、それでリアムさん。今日は私の護衛なんですか?」


「正確に言えば、結婚式当日まで護衛につかせてもらうことになった。少なくとも俺との行動がメインとなる」



リアムさんとの行動。


慣れない場所でリアムさんがいるならば心強いです。



「じゃあ、今日からよろしくお願いします」



リアムさんは少し複雑そうな顔をして頷いてくれました。



「ところで、昨日は大丈夫だったのか?」



昨日、それはおそらく部屋に鍵をかけられたことでしょうか。



「え、えぇ。なんとか。流石にびっくりして怖かったですけど…」


「あの人は昔からあんな感じだったんだ。俺も何度か閉じ込められたことあったよ母さんもそうだった」



ますます最初に少し抱いたいいイメージとはかけ離れていくお父様。


やはり、聞いていた通りの方なんでしょうね…。



「さて、暗い話は終わりだ。アリスにいい報告をしてやろう」


「いい報告…ですか?」


「あぁ。白ひげ海賊団がすぐ近くまで来ている。この調子だと?結婚式には間に合うんじゃないか?」

「…皆さん無事なんですか?全滅と聞いていたから私てっきり…」

「あぁ、全員無事だよ」


その言葉が聞けてようやく安心しました。

でも、そんなに近くに来ているのなら海軍の方が応戦しに行くんじゃないでしょうか…


実際に海賊と海軍は敵対している存在なのですから。



「ちなみに、まだ海軍は白ひげ海賊団のことは気付いていない」


「え?どうしてリアムさんには分かるんですか?」


「まぁ、それは企業秘密と言うことで」



人差し指を口元にもってきてニコッと笑うリアムさんはどこかかっこよかったです。


…顔が整っている方は何をしても似合うんですね。

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