第9章 末っ子の想い
「お、お父様!?なぜですか?開けてください!!」
少しでも聞こえるように扉をたたくも、誰かが来る気配もましてや鍵が開く気配もありません。
どうして…?
あんなにやあさしそうな人だったのにいきなり部屋に鍵をかけて閉じ込めるなんて…
その日は私の部屋の鍵が開くことはありませんでした。
部屋から出ようにも、能力は使えないままですし随分と高い位置に部屋があるで、のよくあるようにカーテンを使って窓から逃げることもできそうにありません。
「これは困りました…」
大人しく部屋にいるしかないじゃないですか…
何もすることのない私はベッドに潜り時間が過ぎるのを待っていました。
いつの間にか眠っていたようで、目が覚めるとそろそろ太陽が昇ってくる時間帯になっていました。
部屋の位置が高い分、日の出を独り占めしている気分になります。
…白ひげ海賊団の皆さんは無事なんでしょうか。
部屋に備え付けられてあったお風呂に入り気分転換を試みます。
流石と言うべきか、お風呂もそこそこの広さを持っています。
天窓から降り注朝日がお湯を照らしていて、軽く露天風呂に入っているように気分になります。
気持ちも少し落ち着いて、すっきりした時部屋の鍵が開く音がしました。
用心して扉の方を見ていると開かれた扉の向こうにはお父様とアベルさん。
見知った顔が一人いてくれるだけでも、随分と安心します。
「おはようアリス。昨日はよく眠れたかい?」
あった時と変わらない優やさしげな表情。
でも、会ったその日に部屋に閉じ込められたのですからさすがの私も緊張感をもっています。
昨日はこの優しい表情に私は騙されていたのですから。
「今日はアリスの婚約者との挨拶が控えている。このリアムという海兵が護衛にあたってくれる」
昨日もアリスを連れてきているから分かるよねと言われました。
…婚約者に会うなんて一言も聞いていないのですが。