第7章 ひとときの休息
「ねぇ、君一人なの?俺たちと一緒に遊ばない?」
どなたか存じ上げない男の人が私に話しかけてきました。
よく見たら、周りを数人の男の人で囲まれていました。
これは迷子よりも大ピンチです。
それ以外の人はあまりかかわりたくないのか、チラッと視線をこちらに向けてすぐに逸らしてしまいます。
あぁ!誰でもいいから助けてください!
子猫に戻りたい!
戻れさえすればもしかしたら何とかなったかもしれないのに…
「あ、あの、私探している人がいるので…」
上手くかわそうとしてもやはり通してはくれません。
他の人に助けを求めようにも皆さん知らないふりと突き通していて望みは限りなく薄いです。
かといって私一人でうまく逃げ切れる感じでもないですし。
ひとりで悶々とこの現状をどうすればいいか考えていると、一人の男の人が私の腕をいきなり強い力で掴んできました。
「あの!痛いです!放してください!!」
「いいから、いいから。こっちに面白いものがあるから!」
あまりにも力強く引っ張られるので、足を引きずる形でどんどん奥へ連れて行かれてしまいます。
「さて、どこに売ってやろうかな。君みたいな子だったらきっとかなり高額な値段が付くと思うんだ」
高額な値段?
最初はこの人が何を言っているのかさっぱり分からなかったけど、前にマルコさんから聞いた話を思い出した。
裏の世界では人身売買は当たり前のように行われているところもあるから絶対に気をつけろと。
その会話を思い出した瞬間、足に力が全く入らなくなりその場にしゃがみこんでしまいました。
このままじゃダメ、何とかして逃げなくてはそう本能が警告をしているのに体が震えて全く言うことをきかなくなっています。
嫌です。
こんなところで白ひげ海賊団の人たちとお別れなんて。
エースとも離れたくない。
私の暖かくて優しい場所。
「へへっ、震えちゃって。安心しなきっといい金持ちのおっさんが買ってくれるさ」
「早く連れて行こうぜ、待ちくたびれちまったよ」
男の人の声がこんなに恐ろしいものだなんて初めて知りました。