第7章 ひとときの休息
「お嬢さん、お目が高いね。そのネックレスにはめ込まれているのは“ムーンストーン”というものだよ」
お店のおじいさんがそう教えてくれる。
「これがムーンストーンですか?聞いたことはありますけど初めて見ました」
「まぁ、俺たちは基本海の上にいるからな」
エースにそう言われなんとなく納得してしまった。
それにしても綺麗な石だな…
「欲しいのか?」
じっと見てしまっていたせいか、エースは私がこのネックレスがほしいと思ってしまったみたいです。
「い、いえ!大丈夫ですよ!きれいだなって思って見ていただけですから!」
そういってエースの手を取ってそそくさとお店から離れました。
エースの顔は困惑していましたが、さすがに私のためにお金を使うのはとても申し訳ないのです。
その後、再びバザーをぐるぐると周り、食べ物を買ったり、日用品を調達したりと充実したものとなりました。
その分気を抜いてしまったものもあったのでしょう
「エース、次はあそこのお店行ってみませんか?」
問いかけてみてもエースの答えが返ってくることはありませんでした。
おかしいと思って後ろを振り向いてみるとエースの姿は全く見当たりませんでした。
…これは、いわゆる迷子なのではないでしょうか?
そうなれば大変なことです。
エースたちに迷惑をかけてしまいます。
個々は何としてもエースと合流するか、一度船に戻るかをしなくては。
流石にここでいきなり子猫の姿にはなれないので、どこか人気のないところに行ってエースの匂いを探ってみましょう。
人が多いので、エースの匂いが分かるかは定かではありませんが何もやらないよりはきっとマシです!
「と言っても、この近くに人気がない場所なんてあるのでしょうか…」
キョロキョロとあたりを見回すと、奥の方にあまり人気のない場所があるのが見えました。
あそこに行けば、子猫になることができます。
人波に逆らうように何とか前に進もうとしているときでした。