第1章 軽い気持ちで
おそ「お前…誰?」
するとそいつはニコッと笑って近付いてきた。もう一人の俺が笑う姿はどこか不気味で、俺は後ずさった。
「そんなに警戒すんなよ。俺は“お前”なんだから」
そいつは俺の目の前まで来ると、顔をズイッと近付けてまたニコッと笑った。
「ねぇ、長男チェンジしない?」
おそ「…は?てか、お前誰だよ?」
状況が掴めずあたふたしている俺に対し、冷静なそいつは俺の顔から離れて考えるような仕草をする。
「んー、お前の影かな」
おそ「影?」
「簡単に言うと、もう一人のお前」
もう一人の俺…なんかかっこいい。さっきのような怖さは少し収まり、俺はそいつをまじまじと見つめる。
おそ「じゃあお前も“おそ松”?」
「まぁそうだな」
おそ「ん~…あっ、じゃあお前は“黒おそ松”な!」
「黒おそ松?」
黒おそ松は不思議そうに首を傾げた。二人ともおそ松って呼ぶのはややこしいから、俺が今つけた名前。
黒おそ「黒おそ松か…ま、いいんじゃない?」
黒おそ松はニッと子供っぽく笑った。自分の顔を見てるなんて…慣れてるから全然不思議に思わないけど。
黒おそ「で、どう?長男チェンジ」
おそ「なにそれ?」
黒おそ松が言うには、他の五人にも“もう一人の自分”がいるらしく黒おそ松はそいつらの長男らしい。
黒おそ「俺も長男やめたいと思ってたんだよね。だけどさすがにやめられないから、長男変わるの!お前が俺んとこの長男になって、俺がお前んとこの長男になる!よくない?」
俺は俯いて考える。長男を変わったら、俺はこいつの弟達の長男になる。長男である事はかわりないけど、新しい弟達が…
おそ「長男チェンジ…」
俺は顔を上げて、黒おそ松を見た。