第13章 紫煙の策略
そういえば、もうすぐ冬島に近づいていると、朝方マルコさんに教えてもらった事を、今更思い出した。
自覚してみれば、ますます何時もより冷え込んでいると肌で感じてしまう。
「…っくし」
かなりの薄着でいるのが悪かったのだろう、何時もなら気付かれないようにしているから、有り得ない事に、くしゃみをしてしまった。
しかも、なかなか止まらない。
「っくし、」
イゾウさんからは少し離れているものの、声を殺すのに必死になる。
「くしゅっ」
もし、バレたら、もう紫煙をくゆらせる夜のイゾウさんを見れなくなってしまいそうだから。
私の好きな時間が、自分のくしゃみのせいで消えてしまうなんて、勿体無い。