第4章 *恋色観覧車
「私の名前か?レイリーだ。…おっと、お嬢さんの名前は聞かないでおく。」
私も名乗ろうとしたら、レイリーさんにそう言われてしまった。
もしかして、あえて名前を聞かなかったのではないか。
そう考えて、ショックを受けた。
「なに、素敵なお嬢さんに名前を聞くのは、もう少し親しくなってからでいいだろう?」
「…っ」
なんてことだ。
恥ずかしい。
レイリーさんは色んな女の人にも、こんな事を言っているに違いないのに。
そう思っても、無理やり冷静になろうとしてみても、心拍数は激しいまま。
期待するには十分な言葉をかけられて、舞い上がりそうだ。
「…ふむ、お嬢さん。この老いぼれのために、一緒に遊園地にでも行ってくれないか。」
「いいんですか?」
「この老いぼれに、お嬢さんがつきあってくれるならば。」
そっと、手まで差し出されてしまい、戸惑いながらも、レイリーさんの手に自分の手を重ねた。
「行こうか。」
こくりと頷いて、レイリーさんにエスコートされながら、遊園地をまわった。