第1章 キスから始まる恋の話(牛島若利×白布姉)
事情を説明すれば、賢二郎は、いつもの姉ちゃんのお節介か、と納得した。いつものお節介とは失礼な。
そしてその日は三人で食事を取り、久しぶりに牛島君と話した賢二郎は、とても楽しそうだった。そんな賢二郎の姿を見て、私も嬉しくなった。
翌日、賢二郎は牛島君の大学へ。本当は何処か観光にでもと思っていたんだけど、牛島君の、白布も練習に参加するか、の一言に目を輝かせてついて行った。久しぶりに会ったのに姉ちゃんは放置ですか。と少し寂しい気持ちになったけど、賢二郎が牛島君の事を心から尊敬し、憧れている事を知っていたから、いってらっしゃいと笑顔で二人を送り出した。
夕方、牛島君と一緒に帰ってきた賢二郎はとても楽しそうだった。三人で夕食を済ませ、牛島君と共に賢二郎を駅まで送った。また、来ますと言った賢二郎に牛島君も待ってると応えてくれた。
楽しいゴールデンウィークも終わり、また慌ただしい日々が続いた。相変わらず仕事は忙しいし、上司はムカつくし。ストレスは募る一方だった。その仕事の愚痴を牛島君は毎晩毎晩聞いてくれていた。助言とか励ましとか、そんな気の利いた言葉は出てこないけど、私の話を最後まで聞いてくれる牛島君の存在にかなり助かっていた。こっちにだって友達はいるけど、仕事の愚痴をここまでオープンに話せるのは牛島君だけだった。