第6章 俺を動かす理由はいつも君(潜尚保×白布姉同僚)
「彼女の事絶対諦めるなよ。潜はやる時はやる奴だって思ってる。だから頑張れよ。」
そう言って沼井さん達は卒業していった。ついでに、俺もモエちゃんの事諦めねえから、って言っていた。
モエちゃんって言うのは、結局、同じクラスの小山さんの事だったらしい。クラスメイトのノートを集める時に、ノートに書かれた名前に〝小山萌香〟と書かれている名前を見つけ、小山さんにモエちゃん?と尋ねると、え、何?なんで、え?急に名前なんか、なんて言って顔を赤くしていた。クラスメイト、それも女子の下の名前なんて把握していなかったから今まで分からなかった。沼井さんがモエちゃんだけは駄目だからな!なんて言っていたけど、特別小山さんと仲がいい訳でもないし、そんな事ある訳ない。それに俺にはゆりちゃんがいる。だからゆりちゃん以外の女子には全く興味がない。でも、短大を卒業して家を離れてしまったゆりちゃん。当時中学生だった俺は携帯を持っておらず、連絡先も知らぬまま。ゆりちゃんが実家に戻ってきた時に聞こうと思っていたけど、ゆりちゃんは就職してから一度も実家には帰って来なかった。