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【HQ】君に好きだと言えたなら

第3章 物心ついた時から君が好きだった(潜尚保×白布姉同僚)


 惜しくも春高予選東京都代表戦で最後の1一枠から漏れた戸美。三年生が引退し、数日経った日の事だった。引退した沼井さんに呼び出された俺は指定された屋上へと向かった。屋上へ行くと、そこには沼井さんだけでなく、大将さん、高千穂さん、広尾さん、先島さんも居た。


「皆さんお揃いでどうしたんですか?」


 そう声を掛ければ、一斉に先輩達に視線を注がれた。そして、無言で近付いてくる沼井さんに両肩を掴まれた。


「…潜、お前モエちゃんと付き合ってんのか?付き合ってんだろ!?そうなんだろ!?」


 掴まれた両肩を前後に揺さぶられ、体が揺れる。モエちゃんとは一体誰の事なのだろうか。モエちゃんと呼ばれる人物の顔を思い浮かべてみるが、思い浮かばない。


「和馬、落ち着けよ。」
「ああ、悪い。落ち着いてたつもりだったんだが、潜見たらなんか抑えられなくて。」


 大将さんに制止され、沼井さんから解放された。そして今度は大将さんから、一年の吹奏楽部のモエちゃんと付き合ってんの?と聞かれた。


「誰ですかそれ?」
「はあ!?お前、モエちゃんつったら、モエちゃんだよ!三年の俺らだって知ってんのに、なんで同じクラスのお前が知らないんだよ!?モエちゃんつったら一年で一番可愛いあのモエちゃんだよ!つーか、あれか!誤魔化してるつもりか!?」


 同じクラスで、一年で一番可愛いモエちゃん。クラスメイトの顔を思い出してみるが、思い当たる人物はいなかった。

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