第2章 アルコールに押された背中(牛島若利×白布姉)
「それは本音か?」
寝息たててたし、完全に寝たと思ったのに…!好きって、ハッキリと聞こえちゃってるし。
「う、牛島君寝てたんじゃ…!」
「嗚呼。物音がしたから目が覚めた。」
静かに歩いたつもりだったのに。…まあ、牛島君神経質っぽいもんな、うん。なんて考えたが、私は悠長にそんな事を考えてる場合じゃなかった。ソファで寝転ぶ牛島君の上に覆いかぶさるようになってる訳で、こんな時間に牛島君の部屋に二人きり。しかもこんな格好で。この状況で落ち着いてられる程私も冷静じゃないし大人じゃない。
「奈緒子。」
少し低い牛島君の声。いつもよりも近い距離で囁かれるその声に心臓はどんどん早くなる。
「…牛島君、ごめんね。」
「なにがだ?」
「好き…なの。」
「俺もだ。」
空いた片方の手で頭を抑えられ、牛島君とキスをした。お酒を大量に呑んだせいかそのキスは雰囲気をぶち壊してしまうような焼酎の味。
「私、牛島君の彼女に立候補してもいいですか?」
「…こういうのは初めてでどうしたらいいのか分からんが、宜しく頼む。」
少しだけ照れたような牛島君のその表情がなんだか可愛くて愛しくて、今度は私から牛島君にキスをした。
「酒臭いな。」
「…ごめん。」
「いや、いい。」
そう言ってまた私達はキスをした。まだクラクラするのはアルコールが抜けてないせいなのだろうが、それ以上に私は牛島君とのキスに酔っていた。
翌朝、早くに牛島君の家を訪れた東雲さんから私の部屋の鍵を渡された。
「上手くいった?」
そう言って悪戯な笑みを浮かべる東雲さんに頭が上がらなかった。