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【HQ】君に好きだと言えたなら

第1章 キスから始まる恋の話(牛島若利×白布姉)


 突然の出来事に、頭の中は真っ白。上司は間抜けヅラで私達を見る。多分、私は今上司と同じ顔をしてるだろう。


「帰ろう。」


 そう言われ、手を握られた。牛島君の手は凄く大きくて、ゴツゴツしていて、男の人の手だった。彼氏がいたのはもう一年以上も前の話で、誰かと手を繋ぐのは久しぶりで、繋いだ手が妙になんだか温かくて、恥ずかしくて、擽ったかった。

 牛島君は黙って私の手を引いて前を歩く。つい、牛島君に流されて手を繋いだまま歩いてきてしまった。ハッとなり、慌てて牛島君の手を離した。


「ごめんね、牛島君。カッコ悪いとこみせちゃって。あれが私がよく愚痴ってた上司で、なんか今日いつもよりしつこくってさ、牛島君来てくれて助かったよ。ありがとう。
でも、彼氏って私が言ったからって、キスとかまでさせてなんか、ごめんね。嫌だったよね。」
「嫌じゃない。したいと思ったからしただけだ。」


 したいと思ったから?キスを?いやいや、待て私。ないない。牛島君はあの状況を打破する為に仕方なくやっただけで、私を傷付けないように、気を遣わせないようにそう言ってるだけで、そんな、ドキッとか全然してないし。牛島君イケメンとか全然思ってないし。


「あのさ、牛島君。凄く助かったんだけど、ああいうのはさ、ほら、人助けだからといって無闇にするもんじゃないし。」
「じゃあ誰にならいいんだ?」
「好きな人…彼女とか!」
「なら問題ない。」
「ねえ、私の話ちゃんと理解してる?」
「奈緒子の事好きだから問題ないと言っている。」
「え?」


 驚く私にまた、触れるだけのキスをした牛島君。驚き過ぎて目を瞑るのも忘れた。唇が離れると、目の前には牛島君の顔。その瞳は真っ直ぐ私の姿だけをら捉えていた。
 牛島君は冗談とかいう人じゃない。それは私も分かってる。けど、そんな風に牛島君の事を見た事なかったし、なんて思っていたのに、


「好きだ。」


 そう言ってまた私の唇に自分の唇を重ねた牛島君にクラクラしてしまったのは言うまでもない。恋愛対象として見てた訳じゃないのに、こんなにもドキドキしてしまうのは、きっと私の気持ちが既に牛島君に傾いていたからなのかもしれない。

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