第1章 『夢を見せて』
この先もきっと、私はいい夢なんて見られない。この世知辛い世の中で生きている限り、それはきっと、変わらないのだろう。それでもまぁ、こんな不思議な出会いのある世の中でもあるのだから、何というか、そんなに悪いものでもないのかもしれない。私が先程まで感じていた憂鬱は、カラ松さんのおかげで、どこかへ飛んで行ってしまった。これで、いいのだ。
お酒で酔っ払ったらしいカラ松さんが、私を見てふにゃりと笑った。あぁ、カラ松さんは、そういう自然な感じでいたほうが良いと思う。いや、別に口に出したりはしないけど。
……ところで、だ。この松野カラ松さんは、恐らく酒に強い方ではない。いや、むしろ弱いのだろう。一緒に飲んだたった1杯のアルコールで、完全に酔いつぶれてしまっている。
さて、私はこのカラ松さんを、どうしたら良いのでしょうか……。
~『夢をみせて』 完結~