第8章 豪運のエイブラムス
現場に着くと
作戦は全て無効におわり
第二防衛戦を突破され
機動装甲警官隊も全滅
なす術がなく現場は騒然としていた。
「コラコラこれ以上あっちの兵隊増やすんじゃないわよ
退きなさい」
3人の姿をみて、あまりの軽装に驚きと心配の声をかけられるが
「餅は餅屋ってね」
スティーブンが手を振りそのまま3人は通り過ぎる
地下鉄の入り口へスティーブがチェインにカメラを手渡し
「頼んだよチェイン
一部始終を録画してクラウスの元に届けてくれ
奴ら本体は映らなくても資料にはなる」
少し不安そうな顔にぎゅっと口を結んだまま
親指を立てる
名前はそんなチェインの頭にふわりと手を乗せ
『よろしくね』
彼女の心情を思いゆるりと笑いかけると
ピンヒールを鳴らしながらスティーブンとK・Kの隣に
足並みを合わせる
地下鉄の階段を下りながら
「あー最悪だわー
腹黒男も一緒なんてありえない」
「まーそう言うなよK・K
エルダーに対して単独で突っ込むより色々マシだろ?
合理的にいこうよ」
「なんで、アンタと名前がセットなのよ」
スティーブンは少し肩をすくめて見せた。
「どうした、名前えらく静かだな」
「名前でも緊張したりするのね」
『いや‥‥待ったなって思って
3年‥‥』
「そうかい? 僕はこんな日が来ないでくれたらいいと
ずっと思ってたよ」
「ダメな男ね」
「穏やかに行きたいだけさ」
キィィィン
耳障りな機械音と共に機動装甲警官隊の機体が目の前に立ち塞がる
「954ブラッドバレットアーツ」
「エスメラルダ式血凍道」
『カルブンクルス血焔術』
〈electrigger1,25gw〉
KKは電撃を付加した弾丸を髑髏模様の2丁拳銃から放つ
〈エスパーダルデルセロアブソールノ〉
蹴りを打ち込み、機体を内側から
氷の剣で串刺しにする
〈Repo Crepitus〉
機体の懐に潜り込み中心部に手を叩きつける
彼女が触れた部分が一瞬のうちに溶け出し
マグマのように赤くなり地面にとけて落ちてゆく