第6章 型にはまった感情
取り敢えず落ち着きますよと、ギルベルトさんが紅茶を出してくれる。
「皆さんもどうぞ」と出されたそれを受け取り口をつける
ふう、と甘い溜息をつきながら
『ギルベルトさんありがとう。』と、いつものふわりとした笑顔を見せる
「で、どーしたんだよ。朝っぱらから辛気臭せえ顔してきやがって」
デリカシーのかけらもないザップの発言に
「最近の君はどうも君らしくないというか、何かあったのかい?」
スティーブンも、彼女の様子が気になって仕方ないのか
いつもよりも会話に食い込んでくる
「そうよね、最近飲みに誘っても全然のってこないし
毎日定時に帰って直ぐに家にこもりっきりだもの」
「名前君体調が悪いんじゃないのか?!」
何も言わない彼女に思い思いにみんなの不安の声が集まる
『そうなのかも・・・
私病気なのかもしれない!』
彼女の発言にメンバーの心配がピークに達する
「ど、何処か痛いのかい?!」
アタフタするクラウスさんに、病院の手配をしようとするギルベルトさん
項垂れていた頭をあげて
『寂しくて寂しくて眠れないの!』
斜め上の言葉に一斉に名前に目線が集まり
言葉を失う
『レオが出てってから、家に帰っても電気付いてないし
誰も出迎えてくれないし
朝起きてもコーヒーの匂いしないし
いい歳こいてって思われるかもしれないけど 』
レオ不足なの〜!っと叫びながら向かいのソファに座っている
僕の方に飛びついてくる
いきなりのことに上手く受け止めきれず
彼女が僕に覆いかぶさる様に抱きついてくる
なのに、レオは全然寂しそうにしてくれないし
全然眠れてないんだからね〜と
ぐりぐりぐりぐり僕の首筋に顔を埋める彼女の姿に
クラウスさんはもう、パソコンに向かいゲームをしだし
チェインとスティーブンさんは、やれやれという顔をし
向かいのソファに腰掛け、ギルベルトさんの紅茶をすする
隣に座っていたザップさんに関してはまだ驚いた顔をしている。