第3章 彼女の弱点
名前はシャツの襟元をピシッと整えると
『でもまあ、こんなにいいものを頂けたのは
占いもハズレでは無かったかもしれませんね』
ありがとうございます!とスティーブンに頭を下げ
レオナルドに視線を移す。
『初めて事務所に来た時以来ね!
あの時は全然話す時間が無かったけれど
改めまして、苗字 名前よ
よろしくね!レオナルド!』
カツカツカツとピンヒールを鳴らしレオナルドの前まで近づくと
初めて会った時と同じように、手を差し出す。
あの時と同じ匂いが鼻を掠めた
「はい、よろしくお願いします!」
そう言うと、もう一度彼女の容姿に目をやる
大きなアーモンド型の目に、綺麗に並んだ2つの泣き黒子
言葉を交わすと嫌でも目に入る、ふっくらとした形のいい唇と
その右下にある黒子
ブラウンの瞳には影が出来るほど綺麗に揃った睫毛がくるんと上を向き
チェインと同じくらいの身長に
黒いスーツに身体のラインがありありと感じるタイトスカート
唇と同じ色の赤いピンヒールを履いている彼女は
美人だ。
こんな、細腕の人が戦っているのだろうか
チェインさんと同じ諜報部なのか
名前の事が気になって仕方がないという顔で彼女をみていると
ふと目があう
『ねえ、レオ?今晩は暇?』
「え?!」
「なあ名前地味糸目なんか誘わねぇで2人でいいことしようぜ」
俺たち年も近いし、大事にするし、
上手くいくと思うんだよとザップは力説しながら
名前の肩を抱き寄せる
「ーーーーいってぇ」
肩に回るザップの手を捻りながら
『嫌よ。なんの病気が移るか分かったもんじゃないわ』
私潔癖なのとさらに力を入れて捻りあげる名前に
チェインが笑いを吹き出す
「ヤリ部屋に名前が通うなんてアンバランス過ぎて笑えるわ」
『笑い事じゃないわよ、不潔よ!』
それよりも!と両手を腰に当て
こちらを覗き込むように名前の顔が近づく
『ねえ
レオってば、返事くらい聞かせてくれてもいいんじゃないの?』
「え、時間ならありますけどーーー」
近くにあるその整った顔に驚きながらしどろもどろに答えると
やったあ!とばかりに笑顔になり