第15章 green、green、green
スティーブンの車へと乗り込み
慌ただしいHLの道を進む
いつもより一段と騒がしく、
ファンファン、ファン
と警察のサイレンが鳴り響く
騒動の中心へと車を向かわせ、スティーブンは窓を開けると
「こっちだクラウス」
外に向かい声をあげる
名前は声の方へ目を向けると
見慣れた大柄のボスがこちらへと駆けてくる
『あら、ぼろぼろじゃない』
「全くやりすぎだよ
可哀想に九頭見会もさぞやびっくりした事だろう
事実上解散だね
あれじゃ」
スティーブンの言葉に、クラウスは
大きな身体を縮こめせ
「‥‥奴らは彼女の大切な花を踏みにじったのだ」
弱々しい声で呟くクラウスの姿に
2人は微笑むと名前はそっと扉を開け
クラウスを車へと導いた。
「違うよ。単独で突っ込むなんて流石の
君でも無茶だって話」
次からは呼んでくれ。というスティーブンの
優しい言葉にクラウスは
‥う‥‥ああ‥‥と、言葉にならない声を出し
済まないと、また肩を落とすのだった。
そんな2人をみて、名前はクスクスと笑う。
「どうしたんだい、名前」
バックミラー越しにスティーブンと視線が合う
『何だかとってもあったかい気分になっただけ』
名前の言葉に、2人は不思議そうに首を傾げた
そんな2人をみてまたクスクスと笑うのだった。
名前は、ふとクラウスの姿を見つめ
薄汚れたスーツをつまむと
『クラウスさん、本当にぼろぼろね』
「本部へ着いたらすぐ着替えないとな」
『怪我はしてない?』
「そんなに、ひどい怪我はしていないよ」
彼女の言葉の意味にハッとして顔を上げると
名前は、もうすでに自分の方へ身体を寄せてきていた
「名前くん!擦りむいただけだよ!」
汗をかきながら焦るクラウスに
名前は首をかしげると
『汗かいてるじゃない、どっか痛いんじゃない?』
すぐ直した方がいいわよ。そう言いながら
クラウスの方の座席へと手をつき身体を持ち上げ
顔を近づける
クラウスは目の前にある名前の整った顔に
前回の〝治療〟を思い出し
「‥‥え‥‥‥ちょっと‥‥‥」
焦ったような小さい声をあげる