第1章 邂逅
声の方を見れば、
スーツにお洒落グラサンという、なんとも分類しにくい格好の受験生、403の番号札を付けた人物がこちらを指しながら叫んでいる。
しかし、彼の姿を認めるよりも先に、ルカとキルアが二重奏にして発した言葉がある。
「「何で?」」
「何でって、おま……っ」
ギャンギャン叫び続ける様が、ちょっと面白い。
(わっかりやすい人だなぁ、……強化系かな)
ルカが笑っていると、キルアが「やっぱ俺らも走ろうぜ」と声をかける。
乗せてもらっているルカに否やのあろうはずもない。2人ともスケボーから降りて走り始める。
「俺、キルア」
「俺はゴン!
君は? キルアと一緒に来たの?」
「ううん、キルアとはさっき知り合ったばかり。私はルカ!よろしくね、ゴン」
ルカとキルアに怒鳴っていたのがレオリオ、それをゴンと一緒にいさめていたのがクラピカだと、それぞれ自己紹介を済ませて……驚いた。
ゴンとキルアとルカが同い年の11歳、というのも面白い偶然だが、どこからどう見てもクロロより年上だと思っていたレオリオが、なんと10代だと言うのた!
……家出もしてみるものだ。
世の中は広い。
驚いたのはルカやキルアだけではなかったようで、試験会場まで一緒に来たゴンまで驚いたら、レオリオを怒らせてしまった。
「ひっでー!もぉ、絶交なっ!!」
ルカはあまりの既視感に、ぶっと吹き出してしまう。
まったく同じことをウボォーに言われたことがあって、声音も動作もまったく同じだったからだ。
(そっ、そっくり……!)
声に出すことも出来ず、2・3度続けて吹き出すと
「お前~~!ルカ!女子供だからって許さねぇ~~っ!!」
レオリオがもの凄い形相で、ルカ目掛けて走って来る。
「きゃ~~!ごめんごめん!
もう笑わないように努力するから~っ」
「そこは『もう笑いません』だろうがっ!!」
加速したレオリオが少女を追いかけまわす。
あまりの騒ぎに、他の受験生の視線が痛い。
クラピカは誰知らず「離れよう」と決意し、振る両腕に力を込めたとか。