第10章 天空闘技場 200階の壁
「うわ~!すごい人!」
「これ全部参加者なんだね」
天空闘技場に着くや否や
目に飛び込んできた長蛇の列に、ルカとゴンが驚嘆の声をあげた。
「ハンター試験と違って小難しい条件は一切なし。相手をぶっ倒せばいいだけだからな」
地上251階、高さ991m。
世界第4位の高さを誇る巨大施設『天空闘技場』。
キルアの説明を聞きながら、ルカは雲に霞む頂を仰ぎ見る。一瞬の雲間から、陽の光に反射する頂上が臨めたような……
「ルカ!こっちで登録するぞ」
「…うん、今行く」
初めての土地に、初めての建物。
高くそびえるそれに視線を奪われたルカは、キルアに促されて駆け出した。
「「うわぁ~!」」
再び声を合わせて驚くルカとゴンは壮観とも言える光景に目を丸くする。
登録を終えた3人が通されたのは、天空闘技場の1階。
すり鉢状のホールの底には、16の四角いリンクが設けられ、その周囲をぐるりと観客席が取り巻いている。
「この野郎!」「そこだ!やれ、殺せ!」「とりあえず医務室へ……」
手前のリンクでは選手同士が血だらけで殴り合い、奥のリンクに向けて観客から罵詈雑言が飛ぶ。右端のリンクでは気絶した選手が担架に預けられるところである。
リンクでは次々と闘いが行われ、何千何万という観客からは四方への野次、もとい声援が送られる。
その様はまさに熱気と混沌。
ワアァァ……!
フロア全体にこだまする喧騒に、キルアは軽く口角を上げた。
「懐かしいな~。ちっとも変わってねーや」
「え、キルア来たことあるの?」
「ああ、6歳のころ無一文で親父に放り込まれた。『200階まで行って帰って来い』ってね。その時は2年かかった」
ゴンとキルアの会話を聞きながらも、ルカは初めての景色に夢中だった。
(こんなに大勢で同時に試合うなんて……
面白~い!)
「ね、何か審判みたいな人がいるね、あれ何?って、あれ?ゴンは?」
「お前、人の話ぜんぜん聞いてねーだろ。
ゴンは試合!もう呼ばれたよ」
そう言いながら、キルアはEのリングを指で示し、
「面白いモンが見れるぜ?」
そう言って、悪そうな顔でニンマリと笑った。