第3章 貧血
ふらり、と足元が揺れる。目の前にいる筈のめぐみの姿もだんだん見えなくなっていく。
あれ、可笑しいな。
「…………あ…………れ」
声が掠れる。大丈夫?というめぐみの声がだんだん遠くなっていくのを感じた。けれど頭の中はやけにハッキリとしていて、寝不足のせいだろうか、なんて呑気に原因を考えている。
ーー頭が痛い。
先程も感じたそれを、まさかまた感じるなんて。最悪だ。
ふと、足が地面から離れていく様な感覚があった。真っ暗になりかけている視界の中で、地面が近付いて来るのが見える。倒れるのか、と理解するのに、十秒もかからなかった。
めぐみが何かを叫んでいる気がするが、あまりよく聞き取れない。
彼女の声を聞きながら、私は意識を手放した。