第10章 下忍の任務
時が経つのは早いものだ。
入学から約一年経ち、今日は卒業試験の日だった。
イタチとルナは入学直後から優秀な成績を上げ続け、入学一年にして卒業のチャンスが与えられることになった。
「では、始めるぞ。まず、うちはイタチから。」
イタチは教官がするように言った術を、全て完璧に発動させた。
「うちはイタチ、合格。
……次、うちはルナ。」
ルナは教官がルナを疑いの眼差しで見ているのに気づいて少しむっとした。
まあ、ルナは書類上はまだ三歳なのだから、疑われるのも無理ないが……
ルナもイタチと同じように、教官がするように言った術を、完璧に使いこなして見せた。
「……うちはルナも合格だ。
二人の成績は甲乙つけ難いから、二人とも首席で卒業だ。」
教官はそう言ってイタチとルナに額当てを渡した。
班分けが発表され、合格者説明会が終わった。
「やったね、イタチ兄さん!」
「ああ、そうだな。」
「それに班も同じだって!他に二人いるらしいけど、どんな人かなぁ?」
(なんて、知ってるんだけどねー。)
「確か、出雲テンマと、稲荷シンコとかいう奴だったかな……」
イタチが呟いた。
「お、そこにいる君達はもしかして、さっき卒業したうちはイタチとうちはルナかな?」
イタチとルナが振り向くと、そこには人の良さそうなおじさんがいた。
「貴方が、担当上忍ですか?」
ルナはそのおじさんに聞いてみた。
「いかにも。担当上忍の水無月だ。これからよろしく。他の班員を紹介するから、ついて来なさい。」
水無月上忍はニコニコして言った。
(大丈夫かな、このおじさん?
失礼だけど、なんか、弱そう…………)
ルナは心の中で呟いた。
『ルナ様、もしもの時はこの李蘭が必ずお守りします。』
主人の胸中を察したのか、頭の中で李蘭が囁いた。
水無月上忍に連れられて行くと、髪の毛がピンピンはねた男の子と、
これまた三つ編みがピンピンはねた女の子がいた。
「この二人が、お前たちとフォーマンセルを組むことになる、出雲テンマと、稲荷シンコだ。
それじゃあまず、自己紹介でもしてくれ。」
水無月上忍が言った。