第46章 暇乞い
「……それは確かに疑問だが……今俺達が話すべきは、俺達になにができるのかっていうことじゃねえのか?」
首を傾げている李蘭に、再不斬が正論を言い放った。
「……はい、確かにその通りです。しかし、実のところ、私達にできることなど、なにもありはしません。」
李蘭がルナの手紙を指差して、はっきりとそう宣言した。
「……ここを見て下さい。
"しばらく帰って来ませんが、探さないで下さい。シスイさん達に探させるのもダメだよ"
とあります。
そして、これは確かに、ルナ様の直筆です。
つまり……」
「……つまり、俺達はルナを探すことも、探させることもできないってことだ。」
口ごもった李蘭の先を、那由他が続けた。
「あぁ…………」
それを聞いて、シスイ達はやられたと言いたげに溜息を吐いた。
「私達は、紅桔梗様の呪いで、ルナ様の命令には逆らえないようにできています。
命令に逆らうことは、すなわち…………死です。
だから……私達は、なにもできないのです。」
李蘭が悔しそうに呟き、下を向いて黙り込む。
そんな李蘭を慰める方法を誰が知っている訳もなく、神隠れの住人達は、それぞれの思いを持て余すしかなかった。