第38章 偽装工作
そのまま皆でお喋りをしていると、ルナの影分身は、不意に自分と同じチャクラの気配が近づいて来るのを感じて、戸惑った。
(………え?どうして、もう一人、影分身が来てるの?いや、この気配は……………
………………まさか、本体?)
感知能力の高い李蘭と那由他でさえ、それが本体であることには気がつかず、影分身の一人が散歩でもしているのだろうと思っていた。
しかし、その気配の主人は、音も無くルナの影分身達のところに向かって来て、
遂にダイニングルームとして使っている部屋の前までやって来てしまった。
そのとき、ルナの影分身の背中には冷や汗が流れ、パニック状態になっていた。
(何?何?どうなってるの?まさか、集会に出てなかった影分身がいたとか?
いやでも、ちゃんと気配が一箇所に集まってるの確認したし、それに…………
………………この他より遥かに濃厚な気配は、本体しかあり得ない!
でも、今は木ノ葉で寝てる筈なのに………どうして⁉︎
………いやそれよりも、もし本体だったら、マズイ……なんで影分身で誤魔化そうとしてたのか、説明しなくちゃいけない。
………それだけは、絶対に避けたい…………)
そんなルナの影分身の願いは届かず、ダイニングルームの扉は開かれた。
ガチャ
その音に、皆が一斉にその方向を向く。
その先には…………今食卓についているルナの影分身と全く同じ顔をした、しかし纏っている雰囲気が全く違う人物がいた。
「久しぶりだなぁ…………李蘭、那由他。」
そのルナと同じ顔をした人物は、ルナらしからぬ妖艶な笑みを浮かべ、フフンと笑った。