第34章 本選
「それが砂の鎧か?……来い。」
サスケはクイクイと手招きをし、我愛羅を挑発した。
我愛羅はサスケを睨んだまま、黙り込んだ。
「来ないのならこちらから行く!」
サスケはそう言うと、我愛羅に突っ込んで行った。
我愛羅はそれを砂の壁で阻もうとしたが、サスケはその後ろに回り込み、振り向いた我愛羅に蹴りを食らわせた。
我愛羅はよろめき、一瞬砂に身体を預けた。
「どうしたよ……そんなもんか?」
サスケは内心ハラハラしているルナには気がつかず、余裕の表情で言った。
顔についていた砂の鎧が一欠片剥がれ落ち、我愛羅は沈黙していた。
(その砂の鎧……剥ぎ取ってやる!)
サスケは重りを外したロック・リーとほぼ同じスピードで、我愛羅の砂の攻撃をかわし、体術で勝負を仕掛けた。
サスケの猛攻に、我愛羅は肩で息をして、その場にへたり込んだ。
サスケの方も消耗が大きいようで、ハアハアと息をしている。
やがて、砂の鎧が我愛羅を包み込み始めた。
サスケはそれを見て駆け出し、砂の鎧が完成したその直後、それに拳を叩きつけた。
しかし防御のために密集させた砂の鎧は硬く、サスケの拳は貫通せずに、弾かれた。
サスケの拳からタラタラと血が垂れて、ルナは今すぐに飛び出したくなったが、なんとか堪えた。
我愛羅が出て来る気配が無いのを見て、サスケは壁に垂直に立ち、印を結んだ。
しばらくして、サスケの左手に、青紫のチャクラが発生し、観客はどよめいた。
サスケは壁の上を走って助走をつけ、砂に覆われたままの我愛羅に、千鳥を繰り出した。
千鳥は我愛羅の砂の鎧に突き刺さり、貫通した。
サスケの千鳥を食らった我愛羅が叫び出し、腕が抜けないことに慌てたサスケは、チャクラを流しなんとか手を抜いた。
手を抜いた穴から感じた視線に、サスケはゾクっとしたが、それはすぐに消え、砂の中から左肩を負傷した我愛羅が現れた。
(な……なんだったんだ、さっきの視線は……)
サスケはそれが消えたことに安堵しながらも、それに感じた恐怖を忘れられなかった。
そのとき、空から会場に大量の白い羽が降ってきた。