第29章 中忍試験開幕
「おい!待て!」
そう言って行く手を塞ぐ二人の後ろにルナは瞬身で回り込み、首の後ろを人差し指で、ちょん、と突いた。
「なっ……⁉︎」
混乱している二人に、ルナは、
「はっはは、あなた達こそ身の程を知ったほうが良いんじゃないですか?」
と冷たく言い放ち、驚く二人を放置して、301に向かった。
その様子を大勢の受験生が見ていたことに、ルナは気がつかなかった。
ルナが301の前に来ると、カカシがいた。
「あれ、レイ一人?」
「いえ、後の三人も必ず来ますよ。なんかちょっとトラブってるだけで。」
「…ふーん?」
カカシは一応納得したようだった。
しばらくして、三人がやって来た。
「よし、中忍試験、これで正式に申し込みができるな!」
カカシが少しホッとした様子で言った。
カカシの言葉に、サクラが疑問を持つ。
「どう言うこと?」
「実のところ、この中忍試験は、初めからスリーマンセル、
またはフォーマンセルでしか、受験できないことになっている。」
カカシの説明にルナを除く三人が驚き、ルナの方をチラリと見た。
(レイは知っていたからあんなことを…?)
「え?でも先生、受験するかしないかは個人の自由だ…って………
嘘ついてたんですか?」
サクラが更に質問した。
「そうだ。もしそのことを言ったなら、サスケやナルトはお前を無理にでも誘うだろう。
たとえ志願する気がなくても、お前はサスケに言われれば、いい加減な気持ちで試験を受けようとする。
サスケと…ま、レイやナルトの為にってな。」
カカシはサクラの問いに答えた。
「じゃあ、もしサスケ君、レイ君、ナルトの三人だけだったら?」
サクラが訊いた。
「その時は、受験は中止し、お前達をこの向こうへ行かせる気は無かった。
だが、お前らは自分の意思で此処に来た。
ナルト、サクラ、サスケ、そしてレイ!
お前らは俺の自慢のチームだ!行ってこい!」
カカシの声に背中を押されて、七班の全員は301に入った。