第18章 十六夜の月
屋根の上では、マダラ(実はオビト)が待っていた。
「終わったな………そいつは連れて行くのか?」
マダラ(実はオビト)がルナを指差して訊いた。
「ああ。先に行ってくれ。木ノ葉の上層部に念を押しておく。」
「そうか。」
マダラ(実はオビト)は、そう言うと神威で去っていった。
イタチはその足でヒルゼンのところへ向かった。
「まずは礼を言う。これで木ノ葉は内戦を免れた。里の平和は守られたのだ。」
ヒルゼンがイタチに背を向けたまま言った。
「はい。」
イタチは今はルナをおぶっているので、跪かずに言った。
「しかし他の手段は無かったものかと、今も残念に思っておる。」
「申し訳ありません。」
イタチは立ったまま頭を垂れた。
「…………謝るのは儂じゃ。
これより木ノ葉はお前を一族殺しの抜け忍とし、ビンゴブックに載せ生死を問わず捜索する。」
「当然です。」
「しかし、ルナをどうする気じゃ?」
ヒルゼンはイタチの背で眠っているルナを見て訊いた。
「連れて行きます。公には、ルナは俺に殺された、と言うことにしていただきたい。」
イタチはこれは譲れない、と言う様子だった。
「うむ………良かろう。これからどうする?」
「暁と名乗る者の手を借りました。その者が約束を違えぬようにそばに身を置くことにします。」
「わかった。気をつけて行かれよ。結界の術式は変えないでおく。サスケが心配になったら、いつでも見に来るのじゃ。」
「お気遣い、感謝します。」
イタチはヒルゼンの元を離れると、シスイに毒を盛った張本人、油女スガルのところに出向いた。
そしてシスイの恨みとばかりに、油女スガルを天照で焼き殺した。
その間もルナはイタチの背で気を失っていた。
その様子を、ルナの影分身の一体が冷静に観察し、天照をコピーした。
(本体に会いに行くのは、もうちょっと後にしよう。)
影分身は森の中に消えた。
そして、イタチは里を抜け、ルナは死亡扱いになった。