第14章 暗部入隊
帰ってくると、イタチとルナはまず、フガクに報告に行った。
「今日から勤務が始まりました。」
「流石俺の子だ。ルナは神…」
「ちょっとちょっとフガクさん、口滑らせないで下さい!」
「うむ、すまない。しかし、お前達はうちは一族のイタチとルナである。頼んだぞ。」
「はい。」
イタチは重々しく言った。
「…はい。」
(イタチ兄さんになんでもかんでも背負わせないで下さい………)
「それでは、まだ行くところがありますので。」
「わかった。気をつけて行けよ。」
そしてイタチとルナが向かった先は、ダンゾウのところだった。
「ルナは少し待っていろ。」
イタチはそう言って、ダンゾウと何やら話し始めた。
ダンゾウはイタチと話している間にも、チラチラルナを見ていた。
(あいつ…)
ルナはダンゾウがうちは一族にしたことが許せなかったが、今は黙っておいた。
話が済んだのか、ダンゾウがルナに声をかけてきた。
「…お前がうちはルナか?」
「その通りでございます、ダンゾウ様。」
ルナはうやうやしく頭を下げた。
「三年前はよくもやってくれたな…」
「…何のことでしょう?」
(やはり…)
「まあ、それは一旦置いておいてだ…ルナ、儂の下につかぬか?」
「えっ?」
ルナは一瞬何を言われたのかわからなかった。
ダンゾウの言葉を聞いてイタチは慌てた。
「ダンゾウ様…それだけは…」
「私なぞ未熟者ですから…」
ルナは慌てて言った。
「ふむ…そうか、残念じゃ。」
ダンゾウは少しニヤニヤして言った。
(嫌な奴…)
ルナは溜息を吐きたくなったが、なんとか堪えた。
「…ダンゾウ様にルナを連れてくるよう言われたんだ。」
イタチは下を向いて言う。
「うん。」
「まさかあんなことをおっしゃるとは…」
「うん。」
「ルナ、ごめんな…」
イタチは本当に申し訳なさそうにしている。
「イタチ兄さんのせいじゃないよ。イタチ兄さんこそ、あんまり無理しないでね。」
スパイ役を任されていないルナは、それしか言えなかった。
「…ありがとう。」
イタチは微かに笑った。