第12章 帰郷
「李蘭。」
ルナは皆が寝静まってから言った。
『なんでしょう、ルナ様。』
「…私を神隠れに連れて行って。」
『…かしこまりました。』
李蘭が案外素直に承諾したことに、ルナは少し驚いた。
『では、取り敢えず木ノ葉の門の前まで行きましょう。』
「そうだね。
飛雷神の術!」
ルナと李蘭、那由他は一瞬で門の前に移動した。
『ではルナ様、私の背中にお乗り下さい。』
「あれ、那由他は?」
『あ、そうでしたね。では、那由他も。』
『ひでぇ…もう二千年以上一緒にいるのに…』
ぶつくさ言いながらも、犬に変化した那由他は李蘭の背中に飛び乗った。
『では、行きますよ。』
李蘭は力強く地を蹴り、漆黒の空へ飛び立った。
「寒ーい!」
パジャマ姿だったルナは寒さに震えた。
『ああ、すみません。人を乗せて飛ぶのが久しぶりなもので、結界を張るのを忘れていました。
結界・守護半球!』
途端に風が止んだ。
「李蘭、凄い!それ後で私にも教えてね!」
『勿論です。』
ルナは暫く快適な空の旅を楽しんだ。
『ルナ様、那由他、あと約十分ほどで到着します!』
ルナがうとうとしてきた頃に、李蘭が言った。
「は〜い。」
ルナは眠そうに言った。
彼方に、巨大な建造物が見えてきた。
「…あれが神隠れの里?」
『そうです。着陸しますよ!』
李蘭はそう言うと、ふわっと殆ど音も無く着地した。
『ルナ様、門はこちらです。』
李蘭に案内された先には、高さ50mはある、巨大な、そして美しい門があって、ルナは見とれてしまった。
よく見ると李蘭と那由他、そしておそらく神隠れの始祖たる神をかたどった、水晶の像がついている。
他の部分も、全て水晶で作られていて、全体が月明かりで煌めいている。
「うわぁ、凄く綺麗だね…」
『ふふ、そうでしょう。神の趣味です。…さあ、そろそろ中へ入りましょうか。』
李蘭と那由他は人型に変化した。
「…うん。」