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神隠れの少女【NARUTO】

第11章 "根"接触


「もう行くのか?」

フガクは池の鯉に餌をやりながら言った。

「はい。父さん。」

「はい、フガクさん。」

今日は、シスイの依頼で、一緒に演習に行くことになっていた。


「里としても八歳にして写輪眼を開眼したイタチの力と、

史上最年少の忍のルナの力を見ておきたいというところか。

一族にとっても同志が増えたのは喜ばしいことだ。勿論俺も誇らしく思う。」

それを聞いてイタチが手を堅く握り締めた。

(父さん……俺は危うく、ルナを失うところだったんだよ。

怖かった!敵に刃を向けられたときよりも、ずっと。思わず涙を零してしまう程に!)


「しかし、写輪眼を手に入れたからと言って、慢心してはいかんぞ。

その眼の力を伸ばすためにも精進は続けねばならん。ルナもな。

いや、お前達には言わずもがなか……イタチは俺の子、ルナは神隠れの末裔なのだからな。

………おっと、口が滑ったようだ。今のは忘れろ。」

「もー、フガクさんたら!」

ルナがフガクにポカポカと殴りかかっている横で、イタチは僅かに顔を歪めた。

(ルナが死にかけたんだ!それなのに父さん。)




ルナは例の任務の後、イタチに自分が死にかけたことについて口止めをした。

イタチが理由を聞くと、

「え?だって、かっこわるいでしょ?」

というぼんやりした答えが返ってきた。

イタチにはルナが何かを隠していることがわかった。




「はい父さん。これからも精進を続けたいと思います。では行って来ます。」

イタチは何とか取り繕った。

「行って来ます!」

ルナはイタチとは対照的に、ニコニコ笑いながら、手を振った。


玄関で靴を履いていると、後ろから、とてとて、と小走りする音が聞こえた。

「兄さん、姉さん!今日は遊ぶって言ったのにー!」

「そうだね。ごめんね、サスケ。任務になっちゃった。」

「許せ、サスケ。また今度だ。」

イタチはそう言って、サスケの額を小突いた。

「いたっ!」

「サスケ、ごめんね。行ってくるよ。」

ルナはイタチが小突いたサスケの額をさすり、口づけた。


「うん!姉さん行ってらっしゃい!」

サスケは途端に元気になった。

それをイタチが羨ましそうに見ていたのは内緒だ。
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