第1章 まぼろし
あなたが居たはずだった。
目が醒めると、いつものように温もりが居なかった。
まだ丑三つ刻、
あなたはどこに行ってしまったの…?
結局、眠れなかった。
朝の、マネージャーからの「あと5分」電話がかかってくるまで。
貴方は、"まぼろし”…?
どうして、夜明け前に居なくなる…?
「…かずくーん、だーいじょーぶでーすかーっ?」
「は、何っ⁉︎…相葉さん?なんで居んのよ」
楽屋で珍しくゲームをせず、ぼーっとしてたら
相葉さんの顔が目の前にあった。
「え?隣のスタジオでコメント撮りしてたの。」
「あ、そうなんだ…」
「入る時もノックしたけど…」
「ごめん、気づかなかったわ…」
やべぇな、俺。相当疲れてんな。
「なになに?なんかお悩み?相談乗るよ?」
「ううん、大丈夫。」
「そ?」
本当は大丈夫なんかじゃない。
でも…そんな事言ったって仕方ない。
貴方は俺のものにはならないんだろ?
貴方は、俺に心をわたさねぇんだろ?
知ってるよ。
知ってるから、奪ってやるよ。
お前の心。