第1章 この世界には僕と君だけ 〜沖田総司編〜
「僕だけど、入るよ?」
重い体で歩きながらの部屋の前に来た
いつもなら返ってくるはずの返事が返ってこない
戸を開けるとそこに、彼女は居なかった
千鶴ちゃんの手伝いでもしてるのかな?
庭に出ると千鶴ちゃんが洗濯をしていた
「千鶴ちゃん、見なかった?」
「え?見てませんけど……。どうかしましたか?」
千鶴ちゃんは不思議そうにしていた
「いや、特に用はないんだけどね……」
千鶴ちゃんはますます不思議そうにしていた
僕は屯所内を一通り探したが見つけることはできなかった
「原、さ」
僕の耳に彼女の声が聞こえた気がした
幻聴かもしれない。でも微かに聞こえた気がした
耳を澄ますと
「ッッ…」
彼女の声だ。
僕は声をする方へと走り出した