第1章 赤い雪
「よし…陽暮、お前…俺について来い」
「え…?!ちょ、ちょっと待って!!お母さんが!!」
「…おかあさん…?」
彼はギュッと握った私の腕を放した。
私は、骨しか残らなかった…残せなかったお母さんを見つめた。
「…喰種か」
「!!」
ヤバイ…!!私…喰種ってバレたら…捜査官に見つかって…お父さんみたいに死ぬんだ…イヤだ…
隠さなきゃ!!
「わ、私は-!!」
「喰種の仕業か。この喰い残し…」
「…え?わかるの…?」
彼は骨だけのお母さんを見下ろした。
「あぁ…わかる。肉、ねぇからな」
ば、バレてない…?このまま、隠そう…
「ぐ、喰種って…ホントに、いるんだ…」
「俺の知り合いにもいたっけな」
「え?!」
まさか、この人…
「あなた…喰種?」
「…。なんでテメェがそんな険悪そうな眼で俺をみるんだ?あぁ?」
「ご、ごめんなさい…」
「…ついて来い。遺体は捜査官が管理するんじゃねーの。変に触るな。お前も喰種対象になんぞ」
そう言って引っ張る彼の手が…冬なのに暖かかった。
この瞬間から新たな生活が始まった。
すべてが新しい、毎日が