第1章 ファン1号の憂鬱
そこにいるんだ。
いるんだね、徹くん。
涙がぼろぼろこぼれて止まらなくなる。
私は何回宮樫徹のために泣いたら気が済むんだろう。
きっと私は何度も何度も、これから徹くんに泣かされると思う。
でもそれは悲しいとか、嬉しいとか、そういうハッキリとした感情に突き動かされているからじゃないのだ。
宮樫徹が、私の心を揺さぶって動かすから、涙が出てしまうんだ。
感動するってこういうことなんだ。
体の真ん中が震えて、手のひらがじんわりと汗ばんで、熱でも出たみたいにカッと熱くなる。
走り出したくてたまらなくて、大きな声で大好きな歌を歌いたくなる、そんな衝動。
それを徹くんはいつも与えてくれる。
その後のエキシビションも、徹くんは私に衝撃を与えてくれた。
ヴィクトル選手に抱きかかえられ、滑走する徹くん。
急にヴィクトル選手に借りだされて、頭の上に疑問符を並べたような顔をしていたのに、氷の上に連れて行かれると、選手だった時のように彼は妖艶に笑った。
打ち合わせしてたんだろうか。
いやでも、ヴィクトル選手に引きずり出された時の徹くんの顔からして、ヴィクトル選手のサプライズだったみたいだ。
ヴィクトル選手にお姫様だっこされながら、徹くんは選手だった時にも見せなかったとびっきりの顔で笑っていた。
まぁ私はそんな二人を見て、あまりの供給過多に鼻血吹いて倒れて、ヴィクトル選手のエキシビション、最後まで見れなかったんだけど。
安定の徹くん中毒です。
摂取過多は幸福だけど刺激が強い。