第5章 有終の美を貴女に 5
近くの店員を呼び、注文を軽く済ませる。
...本当に、私に話す時以外はおしとやかで、静かで、綺麗なんだな。
そう思い、彼女の顔を無意識に見つめていると、注文を終えた彼女がこちらを向いた。
「あら、どうかしたの?」
気まずくなり、すぐに顔を背ける。
──── 一瞬、彼女と見間違えてしまった。
悟られないよう、固く口を噤んでから、本を取り出す。
先ほどの中にはなかった、自前の本だ。
「もう、デートの時くらい本から手を離せばいいのに。」
「...私は、デート、なんて言ったつもりは、無いのですが。」
本から目を離さずにそう言うと、彼女は頬を膨らませた後、徐に携帯を取り出した。