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学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)

第2章 聖夜のシンデレラ(*)


「ああ、そうだ…昨日会った生徒会長さん。トラファルガー・ローさんだ」

そういえば幼馴染や、学校の友達、先生たちの話では、自分は今記憶喪失なのだと聞かされた
そして唯一思い出さないのは、入学の時から付き合っている学園の生徒会長
ということは、このカレンダーの名前はやはり彼のことを指すのだろう

『あ、』

ローが彼であることを認識すると、胸のあたりが温かくなった気がした
自らが、自らの記憶を導き出して答え合わせをしているかのように
そしてこれはきっと、正解

けれど、それ以上は何も湧き上がってはこなかった
温もりも感情も、記憶さえも…


「はぁ…なんでだろ」

何故恋人であるという彼を思い出せないのか。知っている顔の中で、ぽっかりと彼だけ思い出せないことに妙な焦燥感を覚える
けれど、どれだけ思い出そうと焦りもがいたところでやってくるのは強烈な頭痛
記憶は蘇らない


「あーもー…」


これが永く悪い夢なら…早く醒めて欲しい
このままじゃ、彼を傷付けてしまうことしかできなくなる

「ローさんには、断っておこう」


わざわざクリスマスイブを記憶のない彼女と過ごす必要もないだろう
スマホを手に取り、メッセージ画面を開く
慣れた手つきで、丁寧に明日の予定のキャンセルを伝えた

送るとすぐに画面を閉じてしまうとベッドに倒れこんだ
目覚めた時には何かしらの記憶が戻っているように、願いながら瞳を閉じる

そのままいつしか、夢をの世界へと旅立っていった



『お兄ちゃん、ありがとう』

懐かしい夢を、見た気がする




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折角の休みだというのに、習慣とは怖いものでいつも通りの時刻に自然と目が覚めた
朝早くから仕事に出かける両親の姿は既になく、なんの変哲もない時間が過ぎてゆく

特に予定のなくなったクリスマスイブ
雪でも降りそうな分厚い雲で覆われた空を、窓越しに見つめながら何をしようかと考える

幼馴染2人を誘って、買い物でも行こうか
ナミたちと女子クリスマス会をするのもいい

『けどみんな、もう予定があるよね』

自分にだって立派な予定はあったのだ
きっと記憶があったなら、何より楽しみにしていた予定だろう
彼のことを好きな自分、自分のことを好きな彼…一体2人はどんな風に想い合っていたのか

「何か、思い出せるかもしれない」


渦巻く感情が衝動を突き動かした
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