学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
「はー寒い」
「そりゃ12月だもんよ」
「この寒さだと、近々雪かねェ」
期末試験対策のため、生徒会1年の幼馴染3人で仲良く勉強会の真っ只中
セナの自室にある小さなコタツに3人で顔を突き合わせ、それぞれが苦手科目と戦っていた
寒さのあまり集中力の途切れたセナの一言に、シャチとペンギンも言葉を返すと書く手を止めて窓の方に視線を移す
窓の外は冬空独特の分厚い雲が、太陽の光を遮るように空を覆っていた
「ああ〜寒い!セナっ、ココア!あっつーいココア飲みたい」
「当店はセルフサービスとなっております」
「寧ろあっつーいココアぶっかけられてしまえ」
「ペンギン酷ッ!」
生まれた頃から一緒にいた3人のやり取りはテンポの良いコントのようだ
家も三軒並んだ隣同士なため、行き来も多い
更には高校も同じところへ進み、3人ともが生徒会に所属している
「頼むよセナサマァ〜〜」
「もー仕方ないなぁ。100ベリーね?」
「おまっ」
「文句ある?」
「変なとこナミさんに似たよな、お前」
「ペンギンは何飲むの?」
「えー100ベリーだろ?」
「大丈夫よ、シャチにツケとくから」
「じゃあコーヒーで」
「お前ら鬼か!!」
そんな冗談を言い合いながら立ち上がったセナは、上着を羽織って部屋を出る
身を縮こませながら、足早にキッチンへと入り飲み物を用意した
「あー早くお湯沸いてー」
ガスコンロに手をかざしながら、白い息を吐く
湯が沸いたところでシャチのココア、ペンギンのコーヒー、自分の紅茶を淹れてトレイに乗せる
ガチャ
「ん?」
早く部屋に戻ろうとトレイを持ち上げたところで、玄関から物音が聞こえた気がした
両親が帰ってくるにはかなり早い時間だし、勝手知ったる幼馴染は2人とも二階にいるはず
トレイを持ったまま、キッチンから伺うように玄関を覗くと後ろを向いて靴を脱いでるのは見知った人物だった
「ロー」
「なんだ居たのか」
「居たのか、ってここ私の家だし。なんで当たり前のように入ってるの」
「あいつらだって当たり前に入ってるだろう」
あいつら。と二階を指差して家に上がってきたのは、セナの恋人であるトラファルガー・ローという男
お決まりのもふもふした帽子と、ファー付きのコートにぐるぐる巻きにしたマフラー姿で完全防寒の出で立ちだ