第4章 Cry
特にやりたいこともなく、ただ何となく学校に通って、ただ何となく友達と遊んで、ただ何となく…。
そんな、何となくな毎日。
高校を卒業して、進学も就職もせずにダラダラと家で過ごしていた。
両親共に顔を会わせれば説教してくるのが鬱陶しくて、母方の叔父さんの家に避難した。
叔父さんは、ある金持ち一家の執事なんてものをやってる。
叔父さんの家はその一家の敷地の中の離れにある。
叔父さんは、結婚もせずにその一家に一生を捧げると決めてるらしいことを母さんから聞いたことがある。
一生を捧げる…?
他人に…?
はっ。馬鹿らしい。
俺の人生は俺のものだし。
人に仕えるなんてやってらんねえ。
俺は絶対に人の上に立ってやる。
叔父さんとは違うんだ!
君に出会う前の俺は本当に馬鹿だ。
ねえ、潤。
俺は君に一生を捧げるよ。
誓うよ。
離さないから。
離れないから。
ねえ、潤。