第1章 NO MUSIC,NO LIFE
公園のブランコにはギターを弾いて鼻歌を歌っている彼女の姿があった。
正解。
「こんなところでなにしてるんですか」
「君から逃げていたんだよ」
「どうして?」
「君のことだ。あのラブソングは誰に向けて言ったかわかるでしょ?」
照れくさそうに笑うさん。
心臓がキュンと照れる。
「さん」
「な、なに?」
「僕にギター教えてくれませんか?」
「へ……?」
「いつでも教えてくれるんでしょう?毎日あの教室に通いますよ」
「……」
「……なにかいってもらえませんか?」
「ご、ごめん。頭が追いつかない。もっと詳しく言ってもらっていいかな」
僕は、ブランコに座る彼女の腕を引っ張り無理やり立たせる。
僕より頭2つ分小さい彼女のを見下ろす。
自然と彼女は僕を見上げる形になる。
「あなたの傍にずっといたいと言っているんです。こういってもわからないほど、貴女の頭は弱いんですか」
僕の精一杯の告白。
彼女はポカンと口を開けていたが、徐々に顔を赤くさせ、腕で顔を隠した。
その腕をほどいて、僕は彼女の唇に自分の唇を重ねる。
「今なら死ねる」
「死なれたら僕が困ります」
Fin.