第2章 相死相殺
「……お前、撃たれたのか?ちょっと待ってろ!!今すぐ手当てしてやる!!」
私の息が荒いことに気が付いた近藤は、すぐに私が撃たれたことに気が付いた。
布団をはいで部屋を出ようとする近藤の腕を掴む。
どうせ私は死ぬんだ。
また子のやつ、急所は外したっていったけど、近藤が殺した後に私も出血多量で死ぬことを計算したのだろう。
血が止まらないし、視界がかすんできた。
こんなところで本当は死にたくない。
あいつらの手に掛かって死ぬくらいなら、最後は愛する人の手で死にたい。
「近藤、さん。最後に一つ、お願いいいですか?」
「しゃべんな!!傷が開くだろう!!」
「私、謀反を起こしました。処罰として切腹しなくちゃ、ですね……」
「何言ってんだ、お前は!絶対死なせねえから!」
「死ぬなら近藤さんの手で死にたい……」
「だからっ……!!」
「近藤さん言いましたよね。いい奴だろうが悪い奴だろうが手を差し伸べるって。手、差し伸べてください。私の最後のお願いです」
私の最後のお願い。
近藤さんは本当は大切な部下を殺すのは嫌なんだろうけど、でも私は本当の部下じゃないから。
彼は今にも泣きそうな顔をして、私のお願いを聞き入れてくれた。
優しい人。
だから私みたいな女に付け込まれるんですよ。
近藤さんは、自分の愛刀「虎徹」を抜いた。
私の刀がすぐそばにあるのに。
愛した人の手で殺される嬉しさが私の胸を満たす。
「近藤さん」
「なんだ?」
「大好きです」
「ああ、俺もお前のこと愛していたよ」
一筋の涙を流す近藤さんに、私は少し目を見開いてそして微笑んだ。
「嘘でも嬉しいです」
そして私は、愛する人の手で命を絶った。
目の前に倒れて息をしなくなった彼女の身体を抱いて俺は流れる涙をそのままに彼女の耳元で
「嘘じゃ、ねえよ……」
Fin.