第4章 紅葉色 ▼沖田総司
「……と言うか、なんで君ここにいんの?」
「えっ?ダメ、ですか?」
「ダメって……うん、まあそうだね。この前それで襲われかけた阿呆は誰だったかな」
「うっそれは……」
不用意に出歩くなとあの夜散々注意をしたにもかかわらずフラフラと歩く彼女にため息をつく。まだ夕刻前とは言え、部屋に連れ込まれたらそれで終わりだ。彼女には危機感というものが薄い。
「で?紅葉がなんだって?」
「あっ……そうなんです。
すごく綺麗なんです」
「ふぅん。どうして僕に見せようなんて思ったわけ?」
「えっ?」
戸惑う彼女の瞳を見つめて肩に載せた刀をトントンと叩く。チラリと見れば彼女は案の定困惑した表情を浮かべていた。
「えっ……と、あの、この前沖田さん仰っていたじゃないですか」
「は?」
「『僕、紅葉は嫌いじゃないんですよ。落ちるまで綺麗に色づく、素晴らしいじゃないですか』……って。勇さんに仰ってましたよね?」
「…………」