第4章 紅葉色 ▼沖田総司
ぱたぱたと小さく聞こえる足音に耳を傾ける。
多分この足音からすると千鶴ちゃんか、それとも……
「沖田さん!」
「何、ちゃん。僕忙しいんだけど」
ノックもなしに扉を開ける彼女に特に用事もないけど付き合うのも面倒くさくて適当に返す。だけど彼女は意に介していないようでそのまま話し始めた。
「今すごく紅葉が綺麗なんです!」
「へえ」
「だから沖田さんも一緒に見ませんか?」
ちゃんは近藤さんの遠い親戚。
一時的に新選組に身を置いているものの、羅刹や変若水については一切知らない。……と言うより、近藤さんが絶対に知らせるなと口ぎつく言っていた。随分可愛がられているようだ。
隊員からはどことなく距離を置くよう言ってはいるけど、彼女はうら若い年齢に加え、可憐という言葉が似合う美貌を持っている。
静止の声を掛けたところで全員が聞くわけでもない。