第2章 ショッピングデート ▼白布賢二郎
「ほかの奴らには見せんなよ。これ、結構胸元際どそうだから。……だから、俺の前でだけ着て」
「っ……!」
澄まし顔で伝えた賢二郎は、最初に私が手に取った白いセーターをもう手に取りそのまま会計へと向かってしまった。慌てて向かおうとするも両手には服。元あった場所に掛けてから賢二郎の元へ向かえば既に会計は終了していた。
「賢二郎あの、」
鞄から財布を取り出そうとすると、その前に買った袋を押し付けられた。お店のロゴが入ったビニール袋を受け取ると、今度は手を取られる。
「えっ、ちょっ…」
「今日俺ん家誰もいないから」
「へ?あの……っ」
繋がれた手が痛いとか、それよりも今の発言にまた顔が赤くなる。いない、つまり、それって。
「目的は達成出来たんだから、もう買い物はいいだろ」
「えっ…!」
ちらりと振り返った賢二郎の瞳と視線がかち合えば、返事を求めるように見つめられた。マフラーから覗く首筋がなんとも艶やかで、場違いだと思いながらも私は顔を赤く染める。もうこうなった以上、私にNOと答えることは出来なかった。
おわり