第2章 ショッピングデート ▼白布賢二郎
明日の土曜日は部活は休み。既に天童さんから情報を得ていた私は得意気に賢二郎へと詰め掛けていた。
そんな秋の、第二土曜日。
「はぁ?ショッピングデート?」
怪訝そうに眉を寄せて思い切り『んなめんどくさいもんぜってぇ行かねぇ』と顔に貼り付けるパッツン前髪、もとい私の彼氏、白布賢二郎。女の子みたいに可愛い顔してるくせにその性格は驚く程宜しくない。と言うか、口が悪い。元ヤンだと言われたら納得出来てしまいそうなほどのガラの悪さだ。
「いいじゃん!たまには!ね?」
「……めんどくせぇ」
言うと思った。私から視線を逸らして黒板を見つめる彼には、まあそれなりに理由がある。……と言うのも、以前デートの帰りに寄った服屋さんで私が凄い長居をしてしまったからなのだが。しかも女性しか来ないようなふわふわ系のお店。所謂原宿系のお店だ。
そんな中店員さんと話が盛り上がってしまい、賢二郎はスマホとにらめっこしながら長時間を過ごすハメになった。その時は真顔でいたものの、お店を出ると苦渋の顔で「長すぎ」と短めに、だけど確かな怒気を感じさせる声音で私に言い放ったのだった。
あの時は本当に申し訳ないと思ったしひたすら平謝りだったけど……。