第16章 貴方が幸せになるなら【野崎梅太郎】
一瞬、意識を失ったのかと思った。
でも、違った。
意識は、ある。
じゃあ、一体。
御子柴「……見るな。もう、無理するな」
あぁ、御子柴先輩かぁ。
私は、最後まで見なくて良かったという安堵と、
ここまで見てしまった絶望が、
私を襲った。
御子柴「………………………」
御子柴先輩は、私を気遣ってくれたのか黙ってくれている。
ーーー御子柴先輩、だから私は、
夏希「…うっ、ぐすっ」
泣いちゃうんです。
夏希「…知って、たんですよ…?
あの二人が、どういう…関係かって、こと…も。」
御子柴「………あぁ。」
夏希「でも……でもっ…。
キスシーンを………見ちゃうとなぁ…。」
御子柴「………あぁ。」
私が少しの間むせび泣いているとき、御子柴先輩はずっと私の頭を撫でてくれていた。
御子柴「………大丈夫か。夏希」
少し時間が経つと、私も少し落ち着き、部屋に入る決意をした。
御子柴「俺の後ろにいろ。」
夏希「はい……」
私が御子柴先輩の後ろに隠れると、
御子柴先輩はわざとらしくドアを開けた。