第16章 貴方が幸せになるなら【野崎梅太郎】
洗面所で、少し顔を洗い、
涙の跡を無くした。 ーーーーよし、戻って背景描かなくちゃ。
そう心に言い聞かせ、私はリビングのドアを開けようとしたが、中から千代先輩と野崎先輩の声が聞こえて、
気づかれないようにドアを少しだけ開けて様子を伺った。
千代「へへ、野崎君大好き。」
野崎「あぁ。俺も」
いきなりの言葉に驚愕する。
御子柴先輩の姿は見当たらず、
御手洗いにいるのだろうか。
千代「ホント大好き…。」
野崎「好きだ…。千代。」
足がすくんだ。
今すぐに逃げ出したいのに足が凍った様に動かなかった。
目、逸らさなきゃ。なのに、目は野崎先輩と千代先輩に釘付け。
心がきっと苦しんでる。
心が悲鳴を上げている。
それとは矛盾に、ここから動けない私。
もう、泣きそうだ…
だが、野崎先輩と千代先輩の行為は止まることはなかった。
千代「へへ、野崎君。ちゅー」
野崎「あぁ。ん」
二人の唇がゆっくり近付いていく。
もう無理、耐えられない。
もう見たくない。
やだ。やめて…。
二人の唇がくっつく直前。
視界が真っ暗になった。