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☆2016企画バトンリレー☆

第8章 ト





▼視点:月島蛍


『好きだなぁ』


の呟きが聞こえ、僕はそちらに目を向ける。
の目線の先には1人のプレーヤー。
本人や周りは気づいてないかもしれないけど、僕にはわかる。

だって僕も…

「ヘイヘイヘーイ!ツッキー!久しぶりー!」

…邪魔が入った。
いつの間にかコートはメンバーチェンジがなされ、今までプレーしていたメンバーは休憩に入ったようだ。

「お久しぶりデス…木兎さん…と赤葦さん。」

「月島久しぶり。」

2人は僕を囲み、試合で流れた汗を拭いている。

この2人に会うのは夏合宿ぶりだ。
久しぶりなのに、この騒がしさ。
…疲れる。

木兎さんは僕に何かしら話をしていたが、先ほど試合をしていたメンバーに呼ばれさっさとそちらに向かっていった。

「木兎さん騒がしくてごめん。」

残ったのは赤葦さん。
ドリンクのボトルを持ち、僕の隣に座る。

「別に…」

騒がしいのは嫌いだ。
だけど…

目線を向こうに送れば、いつの間にか移動したらしく先ほど試合をしていたメンバーと仲良く話をする。

そっちのほうが嫌だ。

こんな子供っぽい感情、僕らしくない。
そう思うが、止められないものは仕方がない。

「月島もさんが好き?」

唐突に言われ、丁度口にしていたドリンクを吹き出しそうになる。
信じられないような顔をして赤葦さんを見れば必死に笑いをこらえている。


「ごめんっ…月島。おまえがそんな反応するなんて…」

「笑わないでください、赤葦さん。」

「ごめんごめん…」

ツボに入ったのか赤葦さんの笑いは止まらない。


ん?
何か僕は、重要なことを聞き逃したような…
さっき、赤葦さんは何て言っていた?


月島もさんが好き?


月島”も”?

慌てて赤葦さんを見れば、口元だけを笑みの形にして僕に言った。

「やっと気づいた?月島だけじゃない。
俺もさんが好きだよ。」


厄介だ。
非常に厄介な人が恋敵になってしまった。


それでも僕の気持ちは止められない。


ため息をつきながら、僕は彼女のいる方に再び目を向けた。

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