第6章 画
▼視点
一体全体、どうしてこうなったんだろう。私と徹くんが従兄弟だってこと、月島くん以外知らないはずなのに。でも月島君は言ってない。彼はそんな簡単に秘密を言いふらすような人じゃないから。もう一年近く同じ部活の仲間なんだから、それ位わかる。
「なあなあ!教えてくれたっていいだろー!」
『日向しつこい!』
振り切ろうにもスタミナお化けと称される日向が相手じゃ、無理なことだ。それは勿論、彼の隣を並行している、口をへの字に描いた彼も同じことで。
「影山も驚いたろ!?」
聞く日向に、影山くんは暫し無言になったあと、
「……なんで黙ってたんだよ」
とぶっきらぼうに呟いた。そこ聞きますか。
『…言ったら微妙な雰囲気になるもん』
「!そんなことな」
「あっれー?ちゃんに、鳥野のチビちゃん、オマケに飛雄までいるじゃーん!」
日向がなにか言おうとするも、それはおちゃらけた声によって阻まれる。見なくてもわかる。多分…いや、間違いなく渦中の人物である。あのね徹くん、オマケのとこ強調して言わなくてもいいからね。
『ゲッ…徹くん』
「ゲッてなにさ、ゲッて!」
「そのままの意味じゃねえの?」
「岩ちゃんそうだけど!そうじゃなくて!」
叫ぶ徹くんにため息が漏れる。タイミング。タイミング大事。
「及川の従兄弟?可愛いじゃん」
「へー、及川の従兄弟ねぇ」
このふたりは…おそらく前に徹くんが言ってた花巻さんと松川さん。挨拶しようとすれば、遠くから足音が聞こえてきた。何だろう?
「大王様だ!!」
「…久しぶりッス及川さん」
渋々挨拶する二人。その後ろに大柄な影が映った。
『…!!』
白鳥沢という字が刻まれたジャージを見にまとうその人は。
「なぜ、お前がここにいる?」
牛島若利と、そしてその後ろに県最強の白鳥沢の面々。わっ、パッツン前髪だ!
「…なにこのタイミング」
「知るか」
徹くんと岩泉さんがやりにくそうな顔をして(主に徹くん)その後ろにいる花巻さん、松川さん、そして後輩と見られる面々も複雑な面持ちをしている。そっか、青城と白鳥沢はインハイでも戦っているんだっけ。と、その時。更なる混沌を呼ぶかのように日向が声を上げた。その手には、ケータイ。
「梟谷グループのひとたち、温泉合宿で宮城(こっち)来てるって!」